フォーラムなど企画(2018年)

2018年12月8日/日本市民安全学会/有楽町国際ビル8F・日本倶楽部
[主催]日本市民安全学会

[テーマ]
平成時代の安全安心を振り返って 〜私の安全安心、新時代の一手〜
 
 今回は全員参加のクロストーキング形式で、平成時代を語り合うこととなりました。サロン形式で開催され、堀内裕子氏の軽妙な進行により様々な方々に話題提供していただきました。



 
◆平成元号発表物語 (日本市民安全学会会長 石附弘氏)

  1998年1月8日にスタートした新しい時代の幕開けは額縁に入った「平成」の文字を小渕官房長官が掲げるシーンからでした。その仕掛人である石附会長に語っていただきました。新元号発表の直前に揮毫されたため生乾き状態だったこと、照明が反射して見えづらくならないように額縁のガラスは外したことなどに加え、箱に入れたまま官房長官に渡したことの意味などの裏話をしていただきました。

◆厚木市セーフコミュニティ10年を振り返って (日本市民安全学会会長 石附弘氏)(厚木市 倉持隆雄氏の代理として)
 犯罪がはびこり、駅前の自転車放置が多く、体感治安が悪かった厚木市を大きく変えた施策の一つがセーフコミュニティではないでしょうか。その始まりからこれまでのことについて語っていただきました。一時期は刑法犯認知件数が神奈川県内のワースト1位でしたが、セーフコミュニティの取り組みを通じて安心して住める厚木市を作り上げてきたとのことでした。
 
◆市民とともに共創する科学 (科学警察研究所犯罪予防研究室 原田豊氏)
 GPS衛星からの電波を安全のために使うことを研究し、実証実験を経て実用化にまでこぎつけた「聞き書きマップ」について語っていただきました。子どもたちの安全安心マップ作りは、紙と鉛筆を持って行っていましたが、GPS受信機とICレコーダーとカメラの3点セットになり、最近ではスマホ1台でできるようになったとのことです。今後は、高齢者の認知症予防ツールとしての展開を検討中とのことでした。
 
◆警友会に思う (高島平警友会 山下弘忠氏)
 38年間の警察官生活ののち、第二の人生として警友会に入り、現在様々な活動をされているとのことです。その警友会について語っていただきました。警友会とは、警察を退官した後、現役警察官をバックアップしたり、退官した人たちの親睦を深めたりする会ですが、任意での加入とのことです。警察全体では26万人中10万2000人が、警視庁では4万人中9500人が加入しているとのことです。退官した後にまで、縦割りの組織に入りたくないという人もいるそうです。

 
◆日本の警察における人身安全の観点から 
(早稲田大学社会安全政策研究所 矢作由美子氏)
 ストーカーやDVなどの身体に危険がおよぶような事案に関して、警察がどのように介入し対応しているのかをお話ししていただきました。RISTEXのプロジェクトとして行われた「親密圏内事案への警察の介入過程の見える化による他機関連携の推進」の研究内容を含め、また桶川ストーカー殺人事件などの具体例なども交えながら説明していただきました。生活安全部と刑事部との連携などについても解説していただきました。
 
◆特殊詐欺被害防止に関する調査を行って (セコムIS研究所 濱田宏彰氏)
 オレオレ詐欺に代表される特殊詐欺被害の現状と被害者の心理状態などについて、先に行った調査結果からお話ししていただきました。警視庁の委託業務として行った調査分析の内容を中心に、被害者と回避者の違いがどこにあるのか、さらに、そのジュニア層の意識がどのように関連しているのかなどについて説明していただきました。被害を回避できた人は、手口を詳しく知っている傾向があるとのことでした。
 
◆医療現場で最近思うこと (葛西昌医会病院医療連携室 村瀬恵子氏)
 社会が変化する中、これからの医療がどう変わっていくのか、私たち市民はどう対応したらいいのかを、具体例を挙げながら詳しくお話ししていただきました。患者と医療の需給バランスが崩れ、病院に入れない人も出てくる可能性があるとのことで、今後は地域包括ケアセンターの存在がより重要になってくるとのことです。また、社会問題になりつつある医療ツーリズムによる未払いについても解説していただきました。
 
◆元気な中小企業主の話 
(東京都中小企業振興公社 久保田徹雄氏)
 中小企業には元気な会社がたくさんあるものの、市場を開拓する術を見つけられず、自社のオリジナル商品を社会にアピールすることができずにいるケースが多いとのことです。全国にある中小企業は380万社あり、うち都内には45万社あるそうです。これらの会社の支援し、新しいマーケットの開拓やマッチングなど事例をお話ししていただきました。社員の健康に対するサポート事業や、歩行困難者の避難ツールの開発事業、書籍のダイジェストを配信する事業などについて説明していただきました。
 
◆地域の見守りとキノコおじさん (日本防犯設備協会 富田俊彦氏)
 日本防犯設備協会で特別講師をする傍ら、地域に戻るとその知識を生かし、子どもたちの安全・安心に注力されてきたとのことです。その活動の一旦を語っていただきました。子どもたちを誘導する旗の柄にキノコのイラストを付け、時に子どもたちに見せながら、見守りを続けているうちに「キノコおじさん」と呼ばれるようになり、親しまれているとのことでした。また、手品を交えた交通安全教室を行うなど、子どもたちに楽しみながら学んでもらう仕掛けを日々考えているとのことでした。


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  一人10分という制限時間を守っていただいた方はほとんどいらっしゃらず、平成という時堀内裕子氏代を駆け抜けてきた勇者のみなさんの熱い話をたくさん聞くことができた勉強会でした。
 今回は、参加者の半分の方にしかお話を聞くことができませんでしたが、次回、第2弾クロストーキングが楽しみです。

2018年11月17日/日本市民安全学会/有楽町国際ビル8F・日本倶楽部
[主催]日本市民安全学会

[内容]
医療現場の危機管理
危機管理コンサルタント 鍋島 修氏
 
 医療現場では医師や看護師などの慢性的な不足に悩まされ、加えて高齢化社会に伴う受診者の増加により多忙を極めています。そんな中で医療行為に伴う事故の発生が増えているとのことです。今回は、医療事故をはじめ、医療の現場で起きる様々な問題を危機管理の面から詳しく解説していただきました。人の命に係わる医療現場という特殊な事情もあって、通常の企業危機管理の考え方ではカバーできない問題が起こってくるとのことでした。薬物投与、メスや針を用いた医療行為などはその典型です。また、カルテや診療情報など、個人情報の取り扱いやその漏洩時の対応などにも注意を払わなければならないとのことでした。さらに、最近では、救命措置を拒否する問題や、LGBTの問題、来日外国人の医療費未払い問題などが新たに出てきたとのことでした。
 何か問題が起こった時に、すべてを弁護士に頼ってしまう医療機関も少なくなく、管理者の危機管理に対する意識が乏しいため、報道対策を含め、実務を担う人材が育たないという問題もあるとのことでした。


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 お話の中で、救急車を呼んだにもかかわらず、救命拒否をするケースが出てきているとのことで、患者や家族との意識のすれ違いがあったとしたら、大きな問題に発展する可能性があると感じました。普段、見えてこない医療現場での問題点が理解できた勉強会でした。

2018年10月20日/日本市民安全学会/有楽町国際ビル8F・日本倶楽部
[主催]日本市民安全学会

[内容]
眠れる獅子、起きる
アルプスシステム インテグレーション(株)菅野泰彦氏
 
 世界第二位の経済大国となった中国。近年の情勢は目を離せない状況にあります。テレビ・新聞等で報道されない日はない状況ですが、本当の中国はどうなっているのか?
長く中国で駐在し、ビジネスにおいても、普段の生活においても経験豊富な菅野氏にたっぷり語っていただきました。日本は1億総中流といわれていますが、中国は14億人のうち中流以上は2億人強という状況で、我々が日常的に認識している中国人はこの2億人の層の中の極一部という、この多様性こそが中国の上昇エネルギーとなっているとのことです。また、日本に対して友好と反日を繰り返す政策によって、より上昇エネルギーを大きくさせている「政策エンジン」という表現も非常にわかりやすいものでした。市民の不満の矛先を日本にしておくことで、中国国内の安定を行っているという意味もあるそうです。また、人民元の貨幣価値の危うさの一方で、電子マネーの普及の早さはかなりのもので、街なかの屋台の支払いでも、お参りのお賽銭でも、QRコードを使った電子マネー決済が当たり前の世の中になっているとのことでした。日本からはなかなか見えづらい中国のいまがクリアになった勉強会でした。

2018年7月14日/日本市民安全学会/ちよだプラットフォームスクエア505会議室、警察博物館
[主催]日本市民安全学会


 第一部 DVDで見る社会的病理の今と市民生活の安全
~警視庁作成 最新啓発DVDから~
警視庁作成のビデオを研修材料にして、市民安全を脅かす犯罪について学びました。
1.「奴らには屈しない」
  みかじめ料などを要求されていた飲食店や、反社会的勢力につながる建設会社に発注してしまった会社が、不当要求防止責任者講習を受講し、これらの組織から脱却するまでの戦いを描いたものです。
2.「Hell’s Gate ~恐怖の扉~ 銃器編・薬物編」
  銃器編は、モデルガンから改造拳銃を作ってしまい、銃刀法違反で逮捕される話や、遺品整理で見つかった旧陸軍の古い銃を子どもが持ち出してしまい、暴発して危うく命を落としそうになる話です。銃を見つけたらすぐに警察に届けましょう。
薬物編は、ストリートミュージシャンが、薬物に手を出してしまい、最終的には刑務所に入ってしまう話です。刑務所の窓の外に舞う雪を見て「シャブの雪が降っている」とつぶやくシーンが衝撃的でした。
なお、2のビデオについては、警視庁Webサイトの動画ライブラリーなどで視聴が可能となっています。

第二部 警察博物館視察
  2017年4月にリニューアルされた警察博物館を視察しました。1階から5階までの展示が一新され、大人から子どもまで楽しく学べる博物館になっていました。1階のパトカーや白バイ、ヘリコプターは子どもたちに大人気でした。一部、学会員も乗り込んで見学していました。また、警察博物館グッズの自動販売機には、防犯・防災に役立ちそうなものもありました。

2018年4月7日/日本市民安全学会/有楽町国際ビル8F・日本倶楽部
AI時代と子どもの安全:光と陰
[主催]日本市民安全学会

[内容]
第一講:
 子どもと教師のためのホリスティック教育/ケア学の可能性
 自由学園最高学部特任教授 成田喜一郎氏
ホリスティックとは、「全体的な」という意味で、ギリシャ語の「holos」を語源としていて、そこから、「whole」「heal」「health」などの言葉が派生して生まれているそうです。社会や文化や自然など全体的な視点で、共に学び、学び合うという教育やケアについてお話ししていただきました。あらゆるものがつながり(Connection)、様々な分野とのバランスをとり(Balance)、多様なリテラシー・スキルを取り込み(Inclusion)、それらを継続することこそがホリスティック教育であるとのことでした。日本市民安全学会の今年度のテーマであるAIと教育のつながりについても説明していただきました。

第二講:
 子どもの自立を支える公教育 ~学校教育の課題~
 神奈川大学 法学部特任教授 鈴木英夫氏
学校のマーケット化、サービス業化といった話から、日本の学校教育の仕組み、キャリア教育に至るまで、様々な視点からお話ししていただきました。学校の中で行われる授業はもちろん重要ですが、人を人とする教育には地域とのつながりが大切であるとのことでした。また、コントロールすることではなくケアすることによって、子どもの心に響き合うことが大切で、それを実行していた校長時代のご経験などをお話ししていただきました。
続く討論会では、PTA会長経験者にお話ししていただきました。三橋氏からは、子どものケータイ・スマホ利用についてPTAが行っていることについて、小松氏からは、PTAの組織運営や問題点について、新谷氏からは、現代のPTAの意義について、それぞれ話題提供をしていただきました。また、保護者がPTA役員をやって良かったと感じてもらえるように、会長として気を配っているとのことでした。

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 ホリスティックという言葉に初めて出会いました。全体的、統合的に考えるというのは、日本市民安全学会の考え方にも通じるものではないかと感じました。また、学校教育における地域とのつながりの大切さ、地域のPTAのみなさんの活躍など、非常に多くの学びを得られた勉強会となりました。

2018年3月11日/日本市民安全学会/浦安市役所
浦安市役所新庁舎見学と認知症体験
[主催]浦安市、NPO浦安防犯ネット、[協力]ベイエリア連携の会、日本市民安全学会

[内容]
第一部【浦安市役所新庁舎見学】
市役所10階の会議室において、浦安警察の方から浦安市の犯罪情勢を報告していただきました。2017年は、千葉県は前年比で減少しましたが、浦安市はわずかですが増えているとのことでした。また、詐欺は千葉県も浦安市も増えているようです。そのあとに、防衛省 自衛隊千葉地方本部市川・船橋自衛官募集出張所の方から災害時における自衛隊の活動について報告していただきました。年間で500~600件の災害派遣を行っているとのことで、その派遣の形態や、派遣の基準などについてと、実際の派遣の状況についてお話ししていただきました。浦安市の河合危機管理監からは、浦安市の災害時対応についてお話ししていただきました。浦安は埋め立て事業により、村だったころに比べておよそ4倍の面積になっているとのこと。東京湾に面しており、古くから高潮や台風の災害が多かったようです。今回は、内水災害や東日本大震災についても解説していただきました。
その後、市役所4階の防災情報室に場所を移し、災害時対応の実際の現場を視察させていただきました。市内全域を見ることができる高倍率ズームカメラの映像や、Jアラートの受信システム、各自治会との連絡用の無線システムなどを紹介していただきました。隣の部屋は災害対策本部になっていました。また、東日本大震災からちょうど7年の14時46分、参加メンバー全員で一分間の黙祷をささげました。



第二部【サービス付き高齢者住宅「銀木犀」】
市役所からバスで移動し、高齢者施設を見学させていただきました。「銀木犀」は耐震性に優れた建物と木をふんだんに取り入れた過ごしやすい施設のようでした。サービス付き高齢者住宅 銀木犀が運営する駄菓子屋に入居者の方自らがお手伝いをすることで、やりがいや元気を取り戻し、近所の子供達の賑わい場所となり、人気とのことでした。こちらの施設では、最先端のVR技術を使った認知症体験をさせていただきました。認知症の方の監修のもと、映像コンテンツを制作されているとのことで、非常にリアリティの高いものとなっていました。

今回は、知っているようで知らないことを学ばせていただきました。前半は災害時における自衛隊や市役所の運営実態について、後半は症状としては知っているつもりの認知症について、どちらもより詳しく知ることができました。自衛隊の災害支援については、もっと国民にアピールしてもいいのではないかと感じました。また、認知症の方がどのような感覚で過ごしているのかの一端を見ることができたような気がしました。特に、レビー小体型認知症の幻視編は衝撃的でした。認知症を理解するための最短ルートではないかと思いました。



2018年2月18日/日本市民安全学会/厚木市・アミューあつぎ6階
市民のための特別公開講座
[主催]日本市民安全学会

[内容]
よそ者が万歳三唱を任されるまでに何をしてきたのか
 ~ソーシャル・キャピタルとコミュニティー~
浅川達人教授 (明治学院大学 社会学部) 
東日本大震災による津波によって大きな被害を受けた、岩手県大槌町の吉里吉里地区での復興支援についてお話ししていただきました。
復興支援といっても、がれきの撤去などといったものではなく、子どもたちの学校を再開させるために、教室の窓ふきや床掃除などを行ったり、子どもたちと遊んだりというところからスタートしたとのことでした。
他にも、地元のおばあちゃんたちに郷土料理の“こまこま汁”を教えてもらったり、津波でほとんどが失われてしまった吉里吉里語辞典の復刻版を作成したりして、地域の方たちの生きがいややりがいを創り出す活動も行っているとのことでした。
最終的には、発表タイトルに
あるように、地域の運動会にて万歳三唱を任されるまでになり、復興を手伝ってくれた人たちというよりも、地域のメンバーとして認めてもらえるまでになっていったとのことです。


特に、社会学的側面からの復興支援について学ぶことができました。先生の言葉に、「復興とは、元の記憶を土の下に埋めてしまうこと」という表現がありましたが、衝撃的でした。沿岸地域ではかさ上げ事業により、さまざまな記憶が埋められていることに気づかされた瞬間でした。
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続く第二講では、厚木市役所の上野進氏に、厚木市のセーフコミュニティの活動状況についてお話ししていただきました。
セーフコミュニティを市民協働で進めることで、刑法犯認知件数の減少はもちろんのこと、市民の満足度や体感治安が向上しているとのことでした。
セーフコミュニティに取り組む前と現在のデータを比較してデータは次のとおり。
 データからわかるように、厚木市で最も刑法犯認知件数が多かった時期である平成13年~15年には、まちの治安が悪くなっていると感じている方が50%以上いたことがわかる。セーフコミュニティを導入後の現在では、刑法犯認知件数の減少はもちろんのこと、まちの治安が悪くなったと回答したが43.6ポイント減少し、まちの治安が良くなっていると感じている方も年々増加するなど、セーフコミュニティの導入による効果が実を結んでいる様子が伺えた。このほかにも、交通安全対策、子どもの安全対策について話があり、各対策に現状や課題を確認することができた。
 また、セーフコミュニティの導入により、厚木市民の安心・安全に対する意識にも変化が現れていた。セーフコミュニティによる安心安全なまちづくりへの満足度の増加、セーフコミュニティの継続の必要性の高さからもわかるように、厚木市が市民とともにセーフコミュニティを推進してことが、このデータに繋がっていると感じた一方で、セーフコミュニティの認知が60%前後で推移していることを考えると、更なる市民への活動の周知、活動参加の促進等が必要だと感じたところである。