総会・大会(2018年)

日本市民安全学会 京都・神戸大会
犯罪・2つの老い、そして『源平』の戦い
~地域リスクとローカルガバナンスのあり方~

[主催]日本市民安全学会
[共催]京都産業大学浦中研究室、大本山須磨寺、北須磨団地自治会
[後援]警察政策学会市民生活と地域の安全創造研究部会、(株)映学社

  一日目 京都大会
日時:2018年6月29日(土)13:00~15:30
場所:京都産業大学むすびわざ館304号室

特別講義1
京都府警における「予測型犯罪防御システム」について
京都府警 刑事部 刑事企画課 捜査支援分析センター 所長補佐 上田幸則氏
  京都府内の犯罪予測を行うため、2014年から検討を重ね、米サンタクルズの視察などを経て、2016年10月に運用を開始。アメリカで運用されていた「PredPol」という犯罪予測プログラムをそのまま導入することは難しく、科学警察研究所などの協力を受け、独自のシステムを立ち上げたとのことでした。近接反復被害法とホットスポット分析という考え方をメインに取り入れ、現場の警察官や防犯ボランティアなどにも利用してもらうため、わかりやすいものとなっているようです。今後は、現場警察官の声を聞きながら改良を加え、予測精度の向上を進めていくとのことでした。

特別講義2
自転車交通安全教育の新たな潮流
大阪市立大学大学院工学研究科准教授 吉田長裕氏
  自転車の交通事故は減少しているものの、近年下げ止まりの傾向が見られ、中でも中高生の事故が多いとのことです。日本はオランダやデンマークに次いで自転車が多いものの、自転車教育は進んでいないとのこと。一方で、オランダやデンマーク、フランスなどでは自転車教育が義務化されており、日本でも歩行者向け交通安全教育に加えて、自転車向けの教育も重要であるとのことでした。
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  続いて、学会会員の活動報告が行われました。大阪府防犯協会連合会会長の池﨑守氏、春日井市ボランティア連絡協議会会長の後藤一明氏、関東学院大学講師の小澤光男氏から近況についてお話しをしていただきました。その後、翌日の研修に備え、京都から須磨まで電車で移動しましたが、車窓から見える高槻市内では、6月18日に発生した震度6弱の地震の爪痕が多数見受けられました。須磨駅前の「にっ多寿司」にて懇親会が催され、この日のプログラムは終了しました。


二日目 神戸大会
日時:2018年6月30日(日)8:30~16:00

第一部 須磨寺研修会
場所:大本山須磨寺

須磨寺の歴史(源平合戦)から安全安心を考える
大本山須磨寺貫主 小池弘三氏
  須磨寺貫主の説明を聞きながら、平敦盛と熊谷直実の一騎打ちの場面を再現した「源平の庭」や、「青葉の笛」を展示した宝物館などを見学しました。その後、お寺の一室をお借りして研修会が行われました。神戸市須磨区長の福本富夫氏のご挨拶の後、須磨寺の歴史などを交え、貫主による法話をいただきました。


第二部 北須磨団地研修会
場所:北須磨保育センター2階地域交流室

記念講演
50年で築き上げてきたわがまちの安全(過去・現在・未来)
~超高齢社会におけるコミュニティの再生~
北須磨団地自治会長 西内勝太郎氏
  北須磨団地ができてから2017年に50周年を迎え、高齢化の波はあるものの、元気で楽しい街づくりをされているとのことです。今回、研修会の会場としてもお世話になった「すこやか友が丘」は、住民が中心となって運営している保育センターとして、福祉の拠点となっています。また、団地内のバス停には、自治会と住民とで管理している掲示板などがあり、とてもきれいに整備されていました。さらに、北須磨団地ではある理由により、特殊詐欺被害が少ないとのことでした。

特別講義1
「2つの老い」とこれからのコミュニティ
(有)スタヂオ・カタリスト 代表取締役 松原永季氏
  働く人のための団地としてスタートした北須磨団地では、住民と建物の2つの老いが進行している。“老い”はマイナスにとらえられがちだが、北須磨はそれ以上に住民が元気で、これからのコミュニティのあり方の先端を走っているような街であるとのことでした。

特別講義2
明石市の構成支援の取組み
明石市理事 青山純氏
近年、再犯者が減らないという状況下、社会の安全のため再犯防止が重要な課題とされている中、明石市では、特に障害や高齢認知症等の事情があって社会に馴染めず犯罪を繰り返す人たちの社会復帰促進のため「つなぐ(関係機関の連携)、させる(福祉サービスに繋げること等)、ひろげる(市民等の理解促進)」の三つの柱からなる更生支援の取組みを進めている、という現状についてご報告をいただきました。また、平成28年末には再犯防止推進のための法律も成立し、今後、再犯防止のためには地方公共団体や地域の役割が益々重要になってくる、とのお話でした。

特別講義3
学校安全行政とセーフティプロモーションスクール
大阪教育大学教授 藤田大輔氏
  学校における安全教育の状況について、セーフティプロモーションスクールの活動などを含めてお話ししていただきました。生活安全、交通安全、災害安全の3つに加えて、今後は国防安全も入ってくるかもしれないとのことでした。また、富山の小学校での銃使用事件などのように、銃使用の対策やテロ対策などについてもお話ししていただきました。 


 
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  続いての学会会員活動報告では、葛西昌医会病院の村瀬恵子氏、関東学院大学准教授の牧瀬稔氏から近況をお話ししていただきました。その後、参加者からの質疑応答が行われ、すべての大会プログラムが終了しました。
 

2018年5月19日/平成30年度日本市民安全学会総会および学会創立15周年記念講演会/日本大学法学部三崎町キャンパス

□総会
  元横須賀消防局の小沢氏を議長に総会が行われました。平成29年度の事業報告に続き、収支決算報告と会計監査報告がありました。また、平成30年度の事業計画および収支予算について審議され、いずれも全会一致で可決されました。また、2年に一度の役員改選に伴い、候補者が提示され、併せて承認されました。
  平成30年度の活動方針としては、「AI時代における市民安全:その光と影」をテーマに、特別勉強会を開催し、京都神戸での西日本大会などを通じて、市民安全について考えていくことが確認されました。

 
□学会創立15周年記念行事
第一部:
  日本市民安全学会の“15年の軌跡とこれから”をまとめた記念映画の上映がありました。制作は、法人会員でもある映学社さまによるもので、タイトルは「大変革時代への挑戦 市民主役の安全・安心まちづくり」です。
  また、併せて配布された会員各位からのお祝いメッセージを集めた記念小冊子の紹介がありました。

第二部:記念講演
講師 元豊島区立朋友小学校校長・前行仰小学校校長 田淵貢造氏
「2つのISS(国際安全学校)の認証に携わって」

  当初、校長の独断で始めたなどと揶揄されたそうですが、子どもが主役の安全・安心の学校づくりは、少しずつ保護者や地域に浸透し、朋友小学校を日本で3番目のISS認証校に育ててきたとのことです。続く、行仰小学校では校庭が狭いこともあり、子ども同士の衝突によるケガが多いものでした。しかし、ISS認証の後は、保健室に行く子どもは半減したとのことです。また、子どもたち一人一人が“セーフマン”となり自主的な安全・安心への取り組みが広まり、避難訓練などは子どもたちが中心となって実施しているとのことでした。さらに、子どもたちが書く“ISSノート”を教師や保護者が読み、子どもたちの安全・安心に対する自主性が育っていることを感じとり、それによって大人の意識も変わっていったとのことでした。

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  総会に先立って、東洋大学の井上円了記念博物館の視察も行われました。のちに東洋大学となる哲学館を創立し、「諸学の基礎は哲学にあり」という教育理念のもと後進の育成を進めてきたとのことです。妖怪研究の第一人者でもあったとのことでした。また、学食ランキングで一位となった、同大学6号館の学食にてランチもいただきました。