総会・大会(2019年)

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日本市民安全学会 久留米大会
コミュニティから考える安全安心の最前線 ~令和元年度 久留米市セーフコミュニティフェスタへの体験型参加~

[主催]日本市民安全学会
[後援]久留米市、久留米市防犯協会連合会、(公財)福岡県防犯協会連合会、(公財)福岡県暴力追放運動推進センター、福岡県警察
日時:2019年10月14日(日)12:00~16:45
場所:久留米市シティプラザ

第一部 久留米市セーフコミュニティフェスタへの参加

大久保勉 久留米市長の開会挨拶久留米市長の挨拶でスタートしたセーフコミュニティフェスタでは、市内の小中学生が作ったセーフコミュニティ標語の優秀作品表彰や、各対策委員会におけるパネル展示などが行われました。

特別講演会「あと4秒の命~高齢者の交通事故防止とセーフコミュニティ~」
日本市民安全学会会長 石附弘氏

高齢者による無理な道路横断によって、大切な命が失われる状況について、交通事故総合分析センターの調査結果などを交えて解説していただきました。調査によると、高齢者が道路を横断するとき、右から近づいてくる車には注意するものの、センターラインを越えた後の左から近づいてくる車への注意が行き届かず、事故に遭ってしまいます。高齢者の歩行速度で、片側1車線の道路の場合センターラインに行きつくまでに4秒。つまり、センターラインを越えた後に命を落としてしまうということです。事前に理解していれば、このような事故は防ぐことができ、セーフコミュニティの「不慮の事故は予防できる」の理念は大切であることをお話ししていただきました。

第二部 安全啓発映画祭

安全啓発映画祭では、(株)映学社制作の認知症理解のための『「やさしく」の意味~おばあちゃんは認知症だった~』が上映されましたが、それに先立ち、映画監督を務められた映学社代表取締役の高木裕己氏による特別講演「認知症サポートの秘訣」が行われました。
映画『「やさしく」の意味』は、敦賀市の認知症サポート作文コンテストにおいて、最優秀賞に輝いた当時小学4年生の三輪実由さんの作文『「やさしくする」ということ』が原案であることや撮影時のご苦労などを解説していただきました。
また、防災映画『助ける、助かる 検証 西日本豪雨』や第31回NHK杯全国中学校放送コンテストのテレビ番組部門において最優秀賞に輝いた『HAND』、性暴力被害に苦しむ子どもたちの声を伝えるフォトムービー『言葉にならない痛みがある』が上映されました。

上映作品紹介


第三部 円卓会議「コミュニティから考える安全安心の最前線」

石附会長、藤岡副会長を中心に、安全安心に関する各界の有識者を配し、クロストーキングが行われました。最初に基調講演として、藤岡一郎副会長にお話ししていただきました。「霧の中、燭光は?」と題し、孤独や引きこもり、非行少年の居場所などについての問題提起をしていただきました。それに引き続き、各氏から発表をしていただきました。

サイバーコミュニティと子どもの安全
(一財)草の根サイバーセキュリティ運動全国連絡会 常務理事 吉岡良平氏

子どもたちがサイバー犯罪の被害者になるだけではなく、加害者になるケースについて解説していただきました。コンピュータやインターネットに通じた10代の子どもたちが、ネット社会で何をしたら犯罪になるのかを知らないままに、自分の力を試したいがために加害者となっているとのことでした。ネット社会のモラルをどう教えるか、啓発が大事であるとのことです。ネットリテラシーに関して、子どもたち自身が教える立場になれるように指導を続けているとのことで、長崎県佐世保市での高校生への講座の例や、島根県益田市での子どもたちに安全なユーチューブの作り方を指導する例などをお話ししていただきました。

歯科検診からどんなことがわかるか
日本セーフティプロモーション学会理事 歯科医師 辻龍雄氏

児童・生徒のむし歯の発生状況は二極化しており、最近はむし歯のない子がほとんどです。その一方で、少数ですが、むし歯が多発している子もいます。その子に兄弟がいる場合、その兄弟も同じように多数のむし歯があり、家庭環境に問題があることがわかります。虐待を受けていたり、性被害を受けていたりすると多数のむし歯や摂食障害になるケースが多いことが報告されています。また、歯牙欠損の放置は、社会性や対人関係と関連性があり、孤独死者に多くみられています。歯科疾患、歯牙欠損の放置は、子どもでは家庭環境・DV家庭・児童虐待、若い世代では精神疾患・虐待被害者、一般成人ではヘルス・ケアの不足・対人関係や社会性の欠如など、何らかの問題の存在が疑われます。

言葉一つで人生は変わる
小児のヘルパーステーションにこり 管理者 上田華奈氏

かつてネグレクトを受け、非行に走ったこともあったものの、現在は多くの人に支えられ、支える側にまでなったという経験についてお話ししていただきました。中卒で社会に出たものの、風当たりは強く、心が折れることもあったということです。誰も信じられなくなり、固くなった心を解きほぐしてくれる大人が存在したことで、人生が変わったそうです。現在の職場である、“にこり”の理事長との出会いは大きく、その後、同施設の管理者を任されることになったそうです。“にこり”は医療的ケアが必要な小児を対象にデイサービスなどを行っているとのことですが、医療の進歩で日ごろのケアが必須である子どもたちは多いということです。

江戸しぐさの心を久留米に、未来の久留米のリーダー達へ
江戸しぐさ伝承普及員 元長崎県安全運転管理者講習会講師 宮崎牧子氏

心のゆとりは交通マナーである思いやりにつながります。赤信号で渡ろうとする老婦人は「私が死んだって誰も困らない」と言っていましたが、加害者になってしまった方にも家族がいて、そのあと大変な思いをすること、お互いの命を思いやることが大切だと伝えると、「青信号で渡ることにする」と言ってくれたと言います。
人を敬う心が目つき・表情・言葉・態度となって表れる「江戸しぐさ」という江戸の美しい生き方を紹介しながら、大人のしぐさ(思草)を真似て学ぶことが安全運転や健全育成につながるとお話ししていただきました。

多機関連携で子どもを守る~出会いで未来が変わる~
福岡県警察本部少年課課長補佐 警察庁指定広域技能指導官 安永智美氏

レッド隊長の愛称で呼ばれ、子どもたちの心に寄り添った対応によって、非行に走った少年少女が更生に至るまでの取り組みについてお話ししていただきました。北九州少年サポートセンターは、児童相談所、学校、警察の三機関が、同一フロアに同居しており、さまざまな問題をワンストップで対応可能な体制を取っているとのことです。「非行少年」と呼ばれる子どもは、単なる犯罪少年ではなく、虐待や貧困、性被害等の問題を抱えた「不幸少年」だったということで、ひとりで問題を抱え込んで困っている状況を解きほぐしてあげること、話を聞いてあげること、理解してあげることによって、子どもたちの立ち直りをサポートしているとのことでした。

信じ続ければ、答えてくれる
野口石油社長 福岡県協力雇用主会会長 野口義弘氏

経営するガソリンスタンドにて、不登校やひきこもり、少年院や少年鑑別所の出所者、保護観察中の少年などを雇用してきたとのことです。社会復帰を目指す子どもたちの受け入れ先として、協力雇用主として25年間活動されてきたことについてお話ししていただきました。職を持つことがいかに大切であるか、生まれつき悪い子はいないこと、雇用されていた子が雇用する側になりたいと言ってくれたことなどのお話を通じて、信じ続ければ子どもたちは応えてくれるということを説明していただきました。

暴力団の入口と出口
福岡県警察本部組織犯罪対策課課長 大庭英次氏

福岡県の暴力団勢力は、警察の取り締まりのほか、地域、行政、企業等と連携して入り口対策として、すべての中学、高校で暴力団排除教室を実施したり、出口対策として、社会復帰に関する支援制度を充実させて離脱・就労支援を行なうなどして、過去最少に減少させることが出来たそうです。今後も暴力団の入口と出口にある地域コミュニティによって、暴力団への加入阻止や離脱者の社会復帰を支援していく取組みが大切だというお話しをしていただきました。

安全安心文化の源流をたずねて~太宰府天満宮
翌15日は、大宰府政庁跡と太宰府天満宮を見学しました。

かつて九州は西海道と呼ばれ、その全域を統轄していた大宰府は外交の窓口として中央の都の建物にも劣らないものであったそうです。そのあとで、少し奥にある坂本八幡宮にお参りをしました。新元号「令和」の由来となった「梅花の歌」が詠まれた場所のひとつとされています。
最後に、菅原道真を祀る太宰府天満宮を見学しました。参道から本殿につながる位置にある3つの橋は、現在・過去・未来を示すとのことで、帰りは橋を逆戻りに渡ってはいけないそうです。お参りが終わった後に、別のルートから戻り、境内の菖蒲池のほとりにある“うぐいす茶屋”で食事をいただき、今回の研修会を終えました。

2019年5月18日/令和元年度日本市民安全学会総会および記念講演会/東洋大学朝霞キャンパス

□総会
議長:小澤光男、議案説明:三橋景虎東洋大学朝霞キャンパス講義棟307教室にて、日本市民安全学会総会が行われました。小沢理事を議長に、1号議案から4号議案までが審議され、いずれも全会一致で可決されました。
令和元年度の活動方針としては、「コミュニティから考える市民安全」をテーマに、研修会等を開催すると同時に、警察政策学会部会研修会との共催も継続実施し、さらなる内容の充実を進めていくことが確認されました。


□記念講演
第一部:
講師 元警視庁捜査一課管理官 横内昭光氏
演題 あの時の御巣鷹山 ~警察官としての誇りと使命感~
1985年8月12日、日本航空123便が群馬県の御巣鷹山に墜落しました。それまでの、ジャンボは落ちない、ジャンボは安全という安全神話が一転した瞬間だったのです。その捜査および検証に携わった時のことをお話ししていただきました。深夜の出動待機から現場への移動、その後の悲惨な地獄絵の中での長期活動など、筆舌しがたいご苦労と衝撃の事実を追想しながらお話頂きました。往時の困難極まり無い任務の遂行から、今現在事故を知らない世代への語り継ぎまで、永年堅持されて来られた「誇りと使命感」を語っていただきました。

第二部:
講師 澤田雅之技術史事務所所長 澤田雅之氏
演題 もはや、逃げられません! ~犯罪捜査やテロ対策の視点から~

いまや犯人特定のためにはカメラ画像はかかせない状況になっています。この「機械の目」による顔画像識別についてお話していただきました。顔画像識別技術は、カメラの技術の高度化と相まって、世界のトップを走っているとのことです。多少の経年変化やメガネの有無くらいは制度への影響はほとんどなく、成形した顔であっても見逃すことはまずないそうです。画像の取得でのカメラのデジタル化などによって、ブレやボケ、ノイズといった画質の劣化要因が減少したことが大きく聞いているとのことです。後半では、人の目と機械の目の識別特性の違いなどについてもお話ししていただきました。