2019年9月7日

[主催]日本市民安全学会、ベイエリア連携協議会

[テーマ]
最先端の認知症の取り組みについて
~大切な人に受けてほしいケアのかたち~

1.特別講演

舞浜倶楽部へようこそ!
舞浜倶楽部代表取締役社長 グスタフ・ストランデル氏
スウェーデンのご出身とのことですが、日本人以上に流暢な日本語でお話ししていただきました。舞浜倶楽部で母国の高齢者介護の考え方や手法を取り入れた介護施設を運営されています。福祉先進国スウェーデンの理念を取り入れ、その手法についてお話ししていただきました。単純にスウェーデンのケアの技術を持ち込むことではなく、日本の実情に合った方法で行っています。
居住者の8割が認知症で、特に認知症の方のQOLを守ることを大事にされています。例えば、ケアの手法においては、タクティールケアというスウェーデンで確立された方法を用い、不安や痛みを和らげる「触れる」ケアを行っていること、スウェーデンで生まれた、誰でも簡単に演奏できる“ブンネ楽器”を用いた音楽を通じて楽しい時間を過ごせる工夫をされていることなど、ただ単に「生きる支援」をするのではなく、食事や音楽や地域の交流などを通じて「楽しんでもらう支援」に心掛けた色々な取り組みを学ぶことができました。

グスタフ・ストランデル氏
舞浜倶楽部代表取締役社長 グスタフ・ストランデル氏
北島学氏
舞浜倶楽部統括施設長 北島学氏

2.講演

ケアの基本と実際
~認知症状態にある方へ言葉でつなげるケアのかたち~
舞浜倶楽部統括施設長 北島学氏

高齢者のケアについてと、認知症の方のケアについてお話ししていただきました。まず、認知症とは何かについて説明していただきましたが、脳血管疾患によって日常生活に支障が生じるほどの記憶機能や認知機能が低下する状態のことをいい、これは介護保険法第5条に示されているとのことです。施設居住者に対しては、一方的なお世話ではなく、共感できる部分を考慮し、またタクティールケアをベースに視覚・聴覚・触覚を通じたケアを大切にされています。

3.講演

超高齢社会における社会安全の在り方
日本市民安全学会会長 石附弘氏

この7月に刊行された「安全工学便覧(コロナ社)」に執筆された、「超高齢社会における安全社会の在り方」について紹介していただきました。身体の虚弱化に伴う問題として、よく被害者としての高齢者については議論されますが、加害者になるケースも昨今増えており社会問題となっています。また、いつまでも健常者でいられるためにも虚弱(フレイル)から要支援や要介護になる前に、健常なうちから高齢者のケアの専門家(リハビリの専門家や作業療法士など)の知見を学びこれを実践するなど「ケア」にかかわる社会的なネットワークづくりや地域での取組みが重要との提言がなされました。
超高齢社会における社会の在り方として、例えば、信号機のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるにも拘らず一時停止しない車が約4割以上あると感じている人がいるとの調査もあり、高齢者が道路を横断しようとする際には、徐行や停止するなど「高齢者にフレンドリーな交通安全文化の創造」が求められているとの指摘がありました。

石附弘氏
日本市民安全学会会長 石附弘氏
若江暁久氏
ミサワホーム開発事業部医療介護コンサルタント課主幹 若江暁久氏

4.報告

医療介護を軸とした今後のまちづくりのカタチ
~「ASMACI浦安」事例のご紹介~
ミサワホーム開発事業部医療介護コンサルタント課主幹 若江暁久氏

ミサワホームが中心となって開発した複合施設「ASMACI浦安」について解説していただきました。浦安中央病院の移転をきっかけにして、地域包括ケアを目指した拠点づくりが、浦安市、浦安中央病院、京葉銀行、ミサワホームの4者協定により2015年に開発が始まりました。第一弾が2018年に竣工し、病院をはじめ、調剤薬局や保育園、コンビニエンスストア、小児科、地域交流スペースなどを設置しています。地域の安全・安心の拠点としてセコムも入居しています。第二弾は隣接地にシニア向け分譲マンションを、さらに、第三弾として病院跡地に医療介護機能を集約した複合施設を建設中です。子育て世代から高齢者まで、市民が安心して暮らせるまちづくりが進められています。


【コメント】村瀬理事(葛西昌医会病院医療連携室)

「舞浜倶楽部」には24時間看護師が常駐し、クリニックが併設されていることも安心のひとつです。また、最期まで、ご自分の口で食べることを重視し、ケアの一環として食事をとらえ、尊厳ある生き方の実現にチャレンジしていることが印象的でした。五感は最期まで残るので、五感を刺激して、食べる楽しみを味わっていただくことが重要であるとの考え方によるものです。
最期の看取りまで、看護、介護、食事担当、そして事務職までの多職種が連携して支え、かつ、ご本人だけでなく、ご家族の気持ちも支えていくことにより、ご家族のさびしさやつらさも和らげたいとの考え方に基づくものです。
さらに、地域のボランティアの受け入れを積極的におこなっており、地域密着型ケア、それが舞浜倶楽部が掲げる「親孝行のお手伝い」にもつながっていると思います。