2020年9月19日(土)
[主催]日本市民安全学会
[内容]
新型コロナウイルスが拡がる中で、教育現場における感染対策やその問題点や課題などについて、情報交換、意見交換を行いました。まず、東海大学医学部の渡辺良久氏から最近の新型コロナ情勢について基調報告を頂いた後に、学校教育、社会教育の関係者からの現場報告が行われました。その後、3つのグループに分かれてのワークショップを行いました。
1.現場報告
神奈川大学の鈴木英夫氏から、教育課程についての説明をいただきました。中央教育審議会の答申をもとに文部科学省が作成し、各学校がアレンジを行って学校教育を行っているとのことです。学校生活は、大きく分けて4つの要素(教科学習、道徳、総合的な学習の時間、特別活動:生徒会や学校行事など)と、部活動などの課外活動が加わって行われています。昨今のコロナ情勢により、オンラインでの教育課程が導入されていますが、できないものも出てきているという現状報告がありました。
京都産業大学の浦中千佳央氏からは、コロナ禍の中での大学の講義形態についてお話ししていただきました。キャンパスが閉鎖となり、オンライン講義へとシフトする中、学生は受講する環境の準備、教員は通常と異なる講義実施のための資料作成等の準備に追われたとのことです。ライブ配信による講義、映像を保存しておき学生自身のタイミングで受講するオンデマンド型など、試行錯誤しながらの講義となったとのことです。
三島市立北上小学校校長の露木知浩氏からは、休校要請が入ってからの大慌ての準備やその後の対応についてお話ししていただきました。3月2日(月)から春休みまで休校するように要請が入ったのは2月27日(木)の夕方で、翌日の金曜日しか児童に会うことが出来ない状態で準備をしなければならなくなり、さらに6年生に至っては、それで卒業となってしまうことになり、担任の先生は泣いていらっしゃったとのことでした。夏休みを12日に減らして、足りなくなった授業時間を確保したり、行事をやって心を育てる方針から修学旅行を計画したり、現場では非常に難しい対応を続けられたとのことでした。
浦安市役所危機管理監の河井繁樹氏からは、緊急事態宣言中および宣言解除後の浦安市の対応について説明していただきました。国や県の対策を補完する取り組みを進めてきたとのことでした。社会教育等については、市民大学や各種講座はすべて中止となりました。一部ではオンライン講座とし、動画の配信などが行われ、その一例として、Youtube配信中の「備える!浦安TV」を視聴しました。
2.教育関係ワークショップ
現場報告を受けて、ZOOMのブレイクアウトセッション機能を使用し、参加者を3つのグループに分け、それぞれで議論をしていただきました。その後、全体会議に戻り、それぞれのセッションにおける論点を発表していただきました。
第1セッションは、大阪教育大学の後藤健介先生を中心に議論が行われ、若手の育成をどのように行っていくか、またマスクと手指消毒の重要性を伝えることが重要ではないかとのお話しがなされたとのことでした。
第2セッションは、立正大学の原田豊先生を中心に、オンライン講義をやらざるを得ない状況になり、ICTにおける大きな進展が見られたこと、また、大教室では発言できなかった学生がオンラインによって発言してくれるようになったなどの、プラス面について議論されたとのことでした。
第3セッションでは、秋田看護大学の山田典子先生を中心に、現場の声を聞くことの重要性、オンライン講義での学生に関心を持ってもらうことの工夫、新型コロナに対して正しく恐れることの重要性について議論がなされたとのことでした。
新型コロナウイルスの蔓延により、教育現場は大混乱となり、その対応で大変なご苦労をされている様子を会員間で共有できた研修会でした。今後も、コロナ対策で試行錯誤が続くことが考えられます。日本市民安全学会では、様々な角度から教育現場の問題を考えていきたいと思います。