2018年2月18日

[主催]日本市民安全学会
[場所]厚木市・アミューあつぎ6階

[内容]
よそ者が万歳三唱を任されるまでに何をしてきたのか
 ~ソーシャル・キャピタルとコミュニティー~

浅川達人教授(明治学院大学社会学部)

東日本大震災による津波によって大きな被害を受けた、岩手県大槌町の吉里吉里地区での復興支援についてお話ししていただきました。
復興支援といっても、がれきの撤去などといったものではなく、子どもたちの学校を再開させるために、教室の窓ふきや床掃除などを行ったり、子どもたちと遊んだりというところからスタートしたとのことでした

他にも、地元のおばあちゃんたちに郷土料理の“こまこま汁”を教えてもらったり、津波でほとんどが失われてしまった吉里吉里語辞典の復刻版を作成したりして、地域の方たちの生きがいややりがいを創り出す活動も行っているとのことでした。
最終的には、発表タイトルにあるように、地域の運動会にて万歳三唱を任されるまでになり、復興を手伝ってくれた人たちというよりも、地域のメンバーとして認めてもらえるまでになっていったとのことです。特に、社会学的側面からの復興支援について学ぶことができました。先生の言葉に、「復興とは、元の記憶を土の下に埋めてしまうこと」という表現がありましたが、衝撃的でした。沿岸地域ではかさ上げ事業により、さまざまな記憶が埋められていることに気づかされた瞬間でした。

続く第二講では、厚木市役所の上野進氏に、厚木市のセーフコミュニティの活動状況についてお話ししていただきました。

セーフコミュニティを市民協働で進めることで、刑法犯認知件数の減少はもちろんのこと、市民の満足度や体感治安が向上しているとのことでした。
セーフコミュニティに取り組む前と現在のデータを比較してデータは次のとおり。
 データからわかるように、厚木市で最も刑法犯認知件数が多かった時期である平成13年~15年には、まちの治安が悪くなっていると感じている方が50%以上いたことがわかる。セーフコミュニティを導入後の現在では、刑法犯認知件数の減少はもちろんのこと、まちの治安が悪くなったと回答したが43.6ポイント減少し、まちの治安が良くなっていると感じている方も年々増加するなど、セーフコミュニティの導入による効果が実を結んでいる様子が伺えた。このほかにも、交通安全対策、子どもの安全対策について話があり、各対策に現状や課題を確認することができた。

また、セーフコミュニティの導入により、厚木市民の安心・安全に対する意識にも変化が現れていた。セーフコミュニティによる安心安全なまちづくりへの満足度の増加、セーフコミュニティの継続の必要性の高さからもわかるように、厚木市が市民とともにセーフコミュニティを推進してことが、このデータに繋がっていると感じた一方で、セーフコミュニティの認知が60%前後で推移していることを考えると、更なる市民への活動の周知、活動参加の促進等が必要だと感じたところである。