日本市民安全学会 顧問
元警察庁指定広域技能指導官
公益社団法人日本防犯設備協会 特別講師
富田 俊彦

1 個人情報の漏えい事件の異常発生、そして市民生活インフラ基盤の破壊へ

 本年、2026年の9月以降、国内の企業や自治体等のシステムが広範囲にサイバー攻撃を受けて利用者らの情報が多量に漏えいする被害が増加しており、市民に対する二次被害の発生や影響が心配されます。

 新聞報道によると、セキュリティシステムが無防備な日本の被害が増えており、本年、2026年10月5日までの被害件数は506件で過去最多であると報じています。

 サイバー被害が急増した要因は、AIを悪用して短時間で広範囲に攻撃を行えるようになったことで、企業や自治体等のシステムの脆弱性が露になって、より迅速で的確な対応が求められています。

2 社会を揺るがすAIの新たな脅威:無差別・防御困難

 AIが日常生活で、身近に感じられて便利になって、ネットを利用しない生活は考えらない中で、個人情報保護には注意をしてきたつもりですが、自分の情報が、どこに流れたのかも分からず、これから、どの様な犯罪に巻き込まれるのか不安が募ります。

 知らぬ間に、無差別に次々と攻撃されて、膨大な個人情報が流出して、国を揺るがす、新たな特異手口の許せぬ犯罪です。従来の犯罪とは犯行対象や規模と種類も異なり、速やかに政府が主導した官民合同の対策が求められています。

◎今、直ちになすべきこと=AI生活環境の安全総点検

・ネットに個人情報を安易に預けないこと。
・データーを預けたところは必ずメモをして把握しておくこと。
・情報を提供したら一定のリスクがあることを認識しておくこと。
が必要です。

3 二次被害に遭わないために

 漏えいした個人情報は闇サイトで売買されて詐欺などに悪用される恐れがあります。この先、予想される二次被害の犯行に備えて、今できる対策を講じることが大切です。

◎AI脅威をめぐる諸情報に最大の関心と注意を!

・詐欺電話がかかってくる。
・フィッシング詐欺メールに狙われる。
・口座やクレジットカードなどが勝手に作られる。
などの被害報道は、何時でもどこでも我が身に降りかかる災禍です。

◎「AI生活の安全基本原則」

・関係会社等からの緊急連絡メールには、公式アプリから確認すること。
・漏えい情報を悪用した詐欺メールやショートメッセイジに注意すること。
・クレジットカードの利用明細などに身に覚えのない不正利用が無いかチェックすること。
・パスワードを使い回している場合は変更すること。
等々、基本原則から見直してみましょう。

4 被害を受けた後の対処法をイメージしよう

 流出したデーターの「氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスなど」から、犯罪者は、入手した住所のデーターを使ってネットの地図情報で検索して、その画像から家屋や自動車、洗濯物などを確認して家族関係や生活情報を把握し、または、生年月日から高齢者の住宅を確認するなど、漏えいした情報をもとに、更に検索入手した情報を上積みして、より確実な下見情報を作成して、例えば、二次犯罪である高級住宅や高齢者住宅などの侵入強盗や空き巣などの犯行対象として利用することが予想されます。

 漏れた情報から、知らぬ間に我が家が犯行対象になることが十分に考えられます。

 犯罪者は犯行に便利で都合が良いと思えば、直ぐに、自ら手に入れた情報を犯行に利用しています。姿を見せない犯罪者のターゲットにならないように皆で知恵を出して、二次被害の抑止に努めなければなりません。

5 国を挙げて抑止対策を

 2000(平成12)年、当時、世間を騒がせたピッキング事件を契機に2003(平成15)年から国を挙げて治安再生を目標に官民合同で犯罪抑止に取り組んだ結果、刑法犯認知件数を19年連続して減少させる成果を得ました。

 今回のサイバー攻撃による個人情報の漏えい事件は全国規模であり実態が掴めず把握が困難で発生の予測が付かず、犯人像も浮かんでこず、捜査資料も限定された困難な事件です。更には、全国的な二次被害の発生が予想されるなど、ピッキング事件当時の犯罪発生状況とオーバーラップして、待ったなしの犯罪の情勢下にあります。

 便利さを逆手に取って、善良な市民の安全を脅かす、この卑劣な犯罪は、絶対に許すことができず、根絶しなければなりません。

 慣れ親しんだお店や信頼する公共機関等へのサイバー攻撃は益々増加傾向にあって膨大な個人情報が流出し続けており市民生活を脅かしています。

 市民は、企業・警察・自治体・各種団体等と連携して、最新の犯罪情報を把握し、世代を超えて情報を共有して、皆で知恵を出して、早期に的確な抑止対策を立て、力を合わせて被害抑止に努め市民の安全で安心な生活を確保しなければなりません。