[主 催]日本市民安全学会 、警察政策学会 市民生活と地域の安全創造研究部会
[日 程]7月31日(金) 奈良少年刑務所視察と講話
8月 1日(土) 奈良歴史ツアー
[内 容]今回の特別研修会は、奈良在住本学会顧問の大川哲治先生のご尽力による奈良少年刑務所の見学と研修、及び、場所を移しての前少年刑務所刑務官の竹下三隆先生のご講演、翌日には東大寺大仏殿の拝観等、大変魅力に富んだ研修ツアーとなりました。(30人参加)
1 奈良少年刑務所見学
奈良少年刑務所は、明治41年に竣工の建築物で前身は奈良監獄です。所長の只川晃一様を講師として奈良少年刑務所の由来と刑事施設と改善更生に向けた取り組み等についていろいろなお話を伺いました。
所長のご説明では、この施設では受刑者に対して、犯罪の責任を自覚させ、立ち直りの意欲を喚起し、社会生活に適応する力を身につけさせるため、「作業」のほか「改善指導」や「教科指導」という教育的な処遇を行っている。また、罪を犯した人が二度と犯罪を繰り返させない為の「矯正指導」を重点的に注力している。特に受刑者への「改善指導」の中でも個々に改善更生や社会復帰が難しい受刑者の個別対応をしておりこれには①薬物依存離脱指導、②暴力団離脱指導、③性犯罪再犯防止指導、④被害者の視点を取り入れた教育、⑤交通安全指導、⑥就労支援指導等6種類の中で対応しているとの、お話でした。
2 講演
竹下 三隆 氏 (於 日本料理 花鹿(かじか)会議室)
前奈良少年刑務所刑務官、臨床心理士、放課後ディサービス「なないろ」スーパーバイザー、スクールカウンセラー等で活躍中
(内 容)
少年刑務所在勤中の30年間のご経験を中心に、凡そ4,000人もの受刑者の更生教育に従事してきた経験をもとに、受刑者の心とどう向き合うかというお話でした。
竹下先生は、犯罪を犯す者には特徴があり、法律や決まりごとといった世間の「枠」をはみ出す者が多い。そこで受刑者には、犯罪を犯す原因の一つになる世間にある「枠」という存在につきしっかりと教えていくことが大切だと語られていました。
「受刑者は、人とつながれない傾向がある。人とつながれない者に、いかに力をつけさせていくかが我々にとり大きな課題であると考えている。」との言葉が印象的でした。
3 奈良歴史ツアー(翌日)
東大寺では、大川顧問のご紹介により、大仏殿の特別拝観をしました。
奈良時代8世紀、聖武天皇の東大寺創建の背景や、幾多の戦乱による羅災、大仏に彫られた絵文様の謎など興味尽きない僧職のお話に、「安全・安心」に対する古の時代精神を垣間見ることができました。
その感激を胸に、昼は、菊水楼で奈良の味を楽しみました。