2017年6月11日

[主 催]日本市民安全学会、警察政策学部会研究会合同研修会
[会 場]長屋門公園(横浜市瀬谷区阿久和東1−17)

[内 容]長屋門コミュニティの見学と講和

1、長屋門コミュニティ現場訪問  
 今回訪問したのは、横浜市瀬谷区阿久和東にある長屋門公園(横浜市の所有)で、指定管理者制度に基づき,ボランティア団体「長屋門公園歴史体験ゾーン運営委員会」により管理運営されており、自然観察ゾーンの公園や歴史体験ゾーンの各施設等があります(入園、入館は無料)。

2、講師のご紹介とお話の要約
講師:清水靖枝氏(長屋門公園歴史体験ゾーン事務局長 写真右)

・ご紹介:清水さんは日本初の女性防犯組織(瀬谷区)を立ち上げた方で、現在、神奈川県女性防犯連絡協議会会長を務められるなど、女性の目線で我が国の安全安心のまちづくりに多大な貢献をされ、今は、この素晴らしい日本の伝承文化や自然環境を、次世代に残すことをライフワークに活動しておられる方です。

〇地域の人が自ら運営管理するゾーン
指定管理者制度は、市の所有する施設等を行政のOBなどが管理運営に当たることが大半であるが、長屋門公園の管理運営は、 初の「地域在住の人たちが常駐する公園」として、また緑や鳥を守ることを大切にすることを旨に、その運営が始まりました。 「ここは、自分達のための施設であると感じられる運営」を常に心がけて、禁止の立て札も禁煙以外は出さず、管理を感じさせず、 自分の責任において自由に利用してもらうという。この考え方が浸透すると、長屋門内にモノを捨てない習慣ができた。また、この 地域に住む900世帯が安心して暮らせるために、誰が、何をしたらよいのか?自分達ひとり一人が動き見守ることの大切さを、自 治会全体へ伝える努力を続けてきたといいます。

〇季節の日本の伝承文化や寺子屋等各種教室の開催
 市の認定歴史的建造物(旧大岡家長屋門、旧安西家主屋等)という立派な古民家を、ただ見るだけの施設ではなく、先人たちの思いが込められている各種年間行事や伝承行事を体験でき、その素晴らしさを感じることができるよう運営しているという。五月人形、 七夕飾り、蔵開き、田舎一泊体験などプログラム内容は、多種多様で現在約100の事業を展開しています。 地域住民が歴史的建造物を使いながら保存し、そのプロセスを通じてコミュニティづくりを行い、地域の老若男女の「こころの癒しの場」(居場所)になっているのです。

〇地域の駆け込み寺:長屋門
 蘇る300年の歴史と自然のたたずまいの中で、地域のコミュニティの息遣いが感じられる長屋門公園。(写真は、長屋門を背にした見学会参加の面々) 「文化財級のたてものは文化財とするのではなく、住民が使って残していくことが大事。先人たちの営みを今の人が感じ取ることが大事。」との清水さんの言葉が印象的でした。 こうした地域の方々の日々の努力の基に、長屋門は、「世代を繋ぐ地域の安全安心の、また、自治会活動の拠点」であるとともに、 老若男女を問わず、家庭でのトラブル発生はじめ地域の様々な問題発生時の「駆け込み寺」となっていったのです。

〇「おとなり場」
そのために、向こう三軒両隣りの「各家から見通せる範囲10軒づつを見守り合う組」(注)に編成をし、組単位で、緊急時に助け合う見守り隊性の仕組みを作ったといいます。  注:背中合わせの組みでは見守りができない。京都の古い町割りも各家から見通せるように編成されていました(石附)。

〇「お隣リカード」
 防災活動がスムースに行えるため、家族情報などのカードを作成し、毎年更新しています。また二組単位で昼夜パトロールを実施した結果、空き巣や孤独死等の事故が皆無となり、認知症徘徊連絡もスムースにいくようになったといいます。

〇みまもりの家
みまもり」は目で見えないので、近隣の公園内に、手作りで「みまもりの家」を建てて「見える化」し、そこには必ずボランティアが毎日二人常駐しているそうです。 「そこへ行けば誰かがいる」をコンセプトに、地域の人は自由に予約なしで利用できる。「見守りの家の広い縁側」で繰り広がれる子ども食堂等には多くの住民が参加しています。 (写真中央は、「みまもりの家」建築の指揮に当たった吉野久世話人) 注:「縁側」は、ひと昔前までは、家の内でも外でもなく地域の人々に開かれた「縁の場」でした(石附)。

〇「みまもりあいの家カレンダー」
 例えば、6月のカレンダーには、毎朝顔合わせ幸せラジオ体操、民生委員による新企画「専門家による相続・遺言相談」、健康マージャン((5回)、保健推進員による「もりもり体操(2回)」、お笑いライブ、民生委員による「見守り朝市、子ども食堂」、歌担当おやじによる歌声広場・宿題やろう、環境委員による歌声広場、青少年部会による「子どもの遊びの日」など、地域各組織による催し物が1日1つ書かれており、1人暮らしのお年寄りや食事を家で食べられない子でも美味しく食事ができる「場」(居場所)を提供していました。
〇「おやじの広場」
 定年退職した男性で構成した「おやじの広場」が、結成から10年が経とうとしています。 その活動は活発で、みまもりの家建設から看板作り、見守りの家の当番、子どもたちへの学習支援、こども食堂や見守り市の会場設営等々、その他長屋門公園のボランティア活動の様座な活動を展開しています。 今では、地域にはなくてはならない存在で、トレードマークのオレンジのウインドブレーカが地域のあちこちで見受けられます。

(本レポートは、堀内、斎藤、原田各氏の報告を石附がとりまとめたもの)