メールマガジン「大地と光」風ニュース(2021年1月25日)
学会マガジン「大地と光:『風』」創刊号をお届けします。『風』では、会員の皆さまが地域やグループ内での話題などに参考となる生活安全情報や正しい情報(根拠、要点、情報の探し方)、息抜き情報等をご提供して参りたいと思います。
日本市民安全学会 会長 石附 弘
第1に、非常事態宣言の下、情勢や対応方法について「正しい情報」入手が重要となっています(「誤報パンデミック」という新語もできました)。コロナ情勢の最新情報URLです。
第2に、今「おうちタイム」のが急増しており、家内の事件事故予防が焦眉の急です。事件事故の『家(おうち)集中化』現象についての情報です。
【こころの一服コーナー:閑話休題】
安全安心への気配りと共に、危機の時こそ「こころの一服(余裕・息抜き)」が必要です。例えば川柳にも「コロナ川柳」という新分野が生まれましたー「コロナ菌、ハイカラ英語まき散らし」そしてzoom「ウエブ会議、メモ準備より部屋掃除」など。会員の方は、くれぐれも「オンライン、頭の中はオフライン」にならぬよう気をつけましょう!
第1) 厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の最新の通達(2021.1.8更新)
東京など都市部では重症患者の受け入れも難しくなりつつあり治療の優先順位を決める「トリアージ」が始まっている(2021.1.11朝日)旨報道、神奈川県は9日以降保健所が行う濃厚接触者の調査を大幅縮小する旨報道等コロナ情勢の悪化が、市民生活の安全安心に重大かつ深刻な事態にあることはご承知の通りです。厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の最新の通達を参考までお知らせいたします。
【厚労省新型コロナウイルス感染症 対策推進本部 2021.1.8更新】
●自治体・医療機関向け通達(国立感染症研究所「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9357-2019-ncov-02.html
・新型コロナウイルス感染症を引き起こす SARS-CoV-2 は、全ての患者(確定例)が二次感染者を生み出しているわけではなく、全患者の約 10-20% が二次感染者を発生させていることがわかってきました。このことは、見えにくいクラスターの発生が潜在的かつ広範に起こりやすいこと、また、それらの見えにくい感染の伝播が、高齢者などの高リスク群へと移行した時には、同時期かつ大規模に集団発生が起こり、かつ重症者が多発する危険性を秘めている点で、公衆衛生そして医療への大きな脅威になりえます。
●「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
●現場の保健所―保健師の仕事(コロナ関係者への調査内容について
・保健師のための積極的疫学調査ガイド [新型コロナウイルス感染症] 患者クラスター(集団)の迅速な検出に向けて 第2版 [改訂 2020 年 12 月 24 日]
・新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(2020年3月12日暫定版)の「濃厚接触者の対応項目」参照。
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-02-200312.pdf
【参考】「スタンダードプリコーション」の考え方が、感染症への望ましい対応の原点
・厚生労働省が、感染症への望ましい対応としているのは、「全ての人の湿性生体物質(血液、排泄物、分泌物、汗・涙を除く体液、傷のある皮膚・粘膜)を、感染性があるものとみなす」(標準予防策(スタンダードプリコーション:アメリカ疾病管理予防センター(CDC)1996年)との考え方に由来し、医療関係者の感染症対策装備の基本になっているようです。
同時期かつ大規模な感染症集団発生の状況においては、手洗い・マスク・ゴーグル・フェースシールド・手袋・アルコール消毒、場合によっては防護服なども、市民生活の安全安心の砦と言えるのはないでしょうか。
第2) 「家(おうち】での事件事故の予防が焦眉の急
~近年、急増の家庭内親密圏での事件・事故は、コロナ危機で増幅か?
- コロナ後の「生活環境」の変化で、家族の在宅時間の長期化により家族の絆が深まった反面、失業やテレワークによる新たな問題、女性の家事負担増、子どものストレス増大等で、家(おうち)での事件事故が増大傾向にあります。(例えば、女性の自殺者の急増:下図参照)。
- 近年、「家(おうち)」での事件事故は、①~⑥の分野で増加傾向にあり、家族休息の場(安全基地)としての「家(おうち)の安全・安心機能の改善、QOLの向上、脆弱部分の環境改善等が焦眉の急と言えます。
今や『家(おうち)』が事件事故多発の場になっており、ニューライフスタイルが生み出す家内リスクについて、総点検やケアのあり方の改善など、学会でも取り上げていきたいと思います。(文責石附)