~医療・介護・福祉・地域連携:シームレスなネットワークづくりとは何か~
寄稿No.10: 2016年6月
日本市民安全学会理事
NPO浦安防犯ネット代表
村瀬 恵子
私は、医療機関に従事する傍ら、浦安市を中心に防犯ボランティア活動をしています。丁度、防犯ボランティア活動をして7年目を過ぎた頃、大きな壁にぶち当たりました。そんな時、日本市民安全学会に入会させて頂き、自分が悩み、苦しんでいた防犯活動に光を当てて頂き、学会主催のフォーラムや塾が「良き道しるべ」となり、現在に至っています。自分にとっては、日本市民安全学会=幸せ学会と讃えております。と言うのも学会が市民の目線に立って、防犯活動だけでははく様々な切り口で社会と連携し「市民の安全」を一緒に考える場だからです。
そして今、医療も防犯ボランティアも、2025年に向け共通の大きな課題を抱えていることに気付き、私たちの活動の指針になる着地点について述べてみたいと思います。
今後迎える“超超高齢化社会”に向けての連携構想や地域連携の在り方としては、①危機にも平時にも強い「安全で安心なまち」(地域社会)づくりと、②地域資源の最大限の活用が大切だと考えています。
私の考える“未来志向型の超地域連携構想”とは、様々な機関と地域や組織を「超えて」、横断的な繋がりを持ち、技と知恵を出し合い、継続的に地域で安心して暮らせる環境づくりを創生することです。地域に散在する様々な人材を発掘育成し、共にまちづくりを推進してくこと、これがこれからの求められる「超地域連携コミュニティづくり=安全・安心なまちづくり」だと考えます。すなわち多職種多領域異業種連携構築が、市民活動参加へのきっかけやつながり(絆)となり、危機にも平時にも強い「安全で安心なまち」づくりに発展していくと思うからです。
国が推奨する”地域包括ケアシステムは、まだまだ準備段階の手探り状態なのが現実です。確かに行政主導(官民連携・協働)も必要ですが、民民協働事業の構築なくして、皆さんや地域で暮らす高齢者の安全・安心はありません。山積する高齢社会の課題解決には、主役(住民)重視の目線や次世代の担い手との課題の共有(高齢社会教育)が大切だと思います。
そこで私たちは、浦安(東京湾沿岸地区)に因んで「ベイエリア連携の会」(多職種連携の会)を立ち上げ、活動を開始しました。例えば、震災などの有事の際の医療だけでは解決できない困難な事例を想定して勉強会を開き、連携を深めつつ具体的な対応方法について知恵を出し合っています。
私は医療の現場にいて、東日本大震災後、様々な要因によって経済的困窮者が増え、DVや虐侍および認知症患者が増えていると実感しています。医療や福祉の現場でも、一歩間違えれば暴力沙汰に発展するケースも増えているように思います。日頃からの警察との連携・人的ネットワークが本当に必要不可欠になっています。行政・警察・企業・民間のシームレスな繋がり、信頼と絆、知恵の輪の創造の中で、地域コミュニティの課題解決に真に役立つ知恵や安全・安心の環境づくり生きた提案ができると考えます。地域や職種を超えた、顔の見える心の通うネットワーク「ヒューマンネットワーク」こそが、安全で安心なまちづくりの要だと確信しています。資源や制度も大事ですが、人と人が繋がることで、安全活力は2倍にも4倍にもパワーアップします。 日本市民安全学会で学び経験させて頂いた事を活かし、地域力やさまざまな機関との調整や橋渡し役が担える繋ぎ人として頑張りたいと思います。
最後に日本市民安全学会へ感謝の念と益々のご発展を祈念し、「幸せへの支援リレー」とします。