2016年11月20日

[主 催]日本市民安全学会
[後 援]警察政策学会 市民生活と地域の安全創造研究部会
[会 場]ちよだプラットフォームスクエア 会議室

[内 容]
第1講 子どもたちにどう教える“見えざるネット裏の危機”
 全国読売防犯協会協力会専任講師
 東京都eメディアリーダー
(一財)草の根サイバーセキュリティー運動全国連絡会・ほか所属
 アルプスシステムインテグレーション株式会社勤務
 菅野 泰彦 氏

 ICTの技術向上やインターネットの普及によって、ウェアラブルコンピューターによる安全管理や小型ドローンを農業革命などが始まっている。昨今の技術進歩で便利なことが増えているが良いことばかりではない。インターネットの過剰利用による弊害や、犯罪被害が多発する中、道具に使われるのではなく、道具を使いこなさなければならない。インターネットはバスや電車と同じで公共のものだということを理解し、利用のルールやマナー、エチケットを育てることが大事。大人が子供達に残せることは、心構えを育てる事、相談する姿勢、指摘されたら感謝して素直に止める力を育てなければならない。年配者は人生の先輩として、子供たちの成長のため逃げずに指導していく使命がある、とのお話でした。

第2講 
 注意の機能から見た危機管理—危険の見逃し、高齢者の転倒の視点からー
 首都大学東京 人間健康科学研究科 教授 
 樋口貴広氏

 老人の歩行中の転倒などから、注意が行動に大きく影響している事がわかった。注意が機能しない事でミスが起こる。注意は情報の選択と認知資源の配分という二つの機能を持っているが、高齢者の転倒には認知資源の配分が関係しているとのお話。その後、全員で心理的実験の被験者になりました。動画を見つめて、気になるところだけを見ていると、動画中の大きな変化を全員が見逃してしまうというインアテンショナル・ブラインドネスの実験を体験しました。このことから、歩きスマホや運転中のスマホの危険性なども理解できました。指差し確認など視覚以外の方法を使って注意力を補うことも大切だとわかりました。

コメント
 横浜市教育委員会高校教育課首席指導主事 
 鈴木 英夫 氏

ニュースなどで、職員の不祥事やいじめや事故などが大きく報道されると、子供の安心安全ばかりが前面に出されてしまうが、安全安心は基礎条件であって目的ではない。大切なのは教育の中身。  
 これからの変化の大きい社会にあっては、教室の中だけで通用する学力ではなく、教室の外でも通用する力として教科教育を突き抜いたところで資質能力の育成が重要視される。新学習指導要領では、知識を活用して思考、判断し表現する力、何かを理解するということから、何かを共同で為すことを重視する学習観へ変化していく、ということをわかりやすく説明していただきました。

 ネット時代に子供が身につける能力は、ネットの使い方ではなく基本的な生き方やマナー、大人はそれらをきちんと伝える責任がある。また、歩行ということから、歩行そのものも注意力が必要であること。いずれにしろ、インターネットを楽しむにしても、歩いて街を移動するにしても、自分の注意力を確認しながら行動することが大切であることに気づかされました。