2016年12月18日

[主 催]日本市民安全学会 警察政策学会 市民生活と地域の安全創造研究部会
[会 場]セコム本社ショールーム 及び セコムホール

[内 容]
 セコムのショールーム「MIRAI」の視察と特別研修会「地上と空から見守るこれからの安全安心社会づくり」と題してシンポジウムが行われました。近未来を感じさせるショールーム「MIRAI」では、あらかじめ登録された顔写真をもとに、歩きながらでも顔認証がなされ、未来の会議室へ続く扉が自動的に開きました。セコムの考える、未来の安全安心な社会に向けた様々な技術が紹介されました。また、社会の安全安心に向けた“セコムの想い”が説明されました。その後、2階のセコムホールに会場を移して、研修会が行われました。

基調報告 「セコムの考える安全・安心の未来」 
セコム株式会社IS研究所 副所長 丸川 佳 氏

セコムグループが連携して社会の安全・安心・快適・便利を実現しようとしていること、セコムドローンやセコム飛行船といった空からのセンシングと地上の各種センサー、そして人的対応を融合させた最先端の安心まちづくりについて説明していただきました。また、安全安心に関する社会の想いをつなげるには、お互いを理解し共感できる“のり”と“のりしろ”の部分が大切であり、それがあって初めて連携が可能になるとのお話しでした。

パネルディスカッション
「光が丘地区の安全安心まちづくりの自治会活動に関して」 
 相模原市光が丘自治会長 平林 清 氏

 地域をつなぐ自治会活動について説明していただきました。市内でも自治会加入率が高い光が丘地区のすばらしい加入促進活動や、自分たちのまちは自分たちで守るという強い決意を持った独立防災隊の活動、地区の交通事故データを分析した交通安全活動についてお話ししていただきました。まちを良くしたいという気持ち・思いが大切であるとのことでした

準天頂からみた安全マップづくり~「地上と空」の情報の融合へ向けて~」 
 科学警察研究所 特任研究官 原田 豊  氏

 空からのGPSデータと地上のまち歩きで得られた情報を融合させ、地域の安全マップの作成を支援する『聞き書きマップ』について説明していただきました。見聞きした情報を正確な位置にひもづけさせることが大切ですが、GPSだけの測位の場合、ビルの陰などで位置の誤差が出やすくなります。しかし、日本が打ち上げた準天頂衛星からの測位情報が加わることで、今後はより正確な位置情報が得られるようになるとのことでした。また、文部科学省のモデル事業にも採用され、教育現場への普及が進みそうであるとのことでした。

「生活機能レジリエンスのコデザイン」 
  産業技術総合研究所 西田佳史  氏

高齢化による認知機能回復や身体機能の変化に伴って、様々な問題が出てきた際に、安全な状態や社会参加が高い状態へと回復してくれる「生活機能レリジエンス」の重要性についてお話ししていただきました。実世界での問題点抽出に、生活を科学するリビングラボを作って、各種センサーを活用して生活機能の変化を早い段階で検知する仕組みについて説明していただきました。いままで普通の速さで歩いていた人が急激に遅くなった場合には、体調に異変が起こりつつあることがわかり、早期に対応することで、機能回復への早道となります。病院や住宅、老人ホームなどの現実の世界での実証実験が進んでいるとのことでした。

人というセンサーに加えて、建物や街頭に設置されたカメラや各種センサーによって、「見守り」という安全・安心への取り組みが進んできました。これからはそこに空からのセンサーが加わり、それらがさまざまに融合して、社会の安全・安心を形作っていくことになると再確認できた研修会でした。