2015年4月19日

会 場] 世田谷区立八幡小学校
[主 催] 日本市民安全学会/玉川田園調布防犯パトロール隊

[内 容]
1「親の子育て・地域の子育て」育て直し・育ち直り実践アドバイザー 
  講師  臨床心理士・保育心理士 角田春高氏

子どもをめぐる悲惨な事件が起こり、現代社会を取り巻く環境は不安と共にあります。秋葉原事件、佐世保の同級生殺害事件、児童虐待事件の増加。スマホ問題、ドラッグ等々。これら市民を取り巻く心配、不安に対しどう向き合っていくか?原因論や画一的な形成論から捉えるのではなく、人間が発達する過程、節目、体験に注目していくことの重要性についてのお話がありました。子どもだけでなく、親、大人が乳幼児期にどのような体験をしているか。大人の暴力事件、自殺が最近多いのも、その大人が子どもの頃の発達が関係があり、もし子どもの頃に重要な体験をしていないのであれば、今からでもやり直してあげること。それを今からでも地域を挙げて取り組むことが大事であることを学びました。角田先生の、「凶悪な犯罪も小さい頃からの教育次第で、無くせるんです。」という言葉が印象的でした。

2「地域で子どもを育てる」
  講師  瀬谷区女性地域安全委員会代表 清水靖枝氏

 長屋門公園で事務局長を勤める清水先生は、公園に見学にやってくる小学生たちに古民家で暮らしていた先人達の生活の営みを説明したり、年中行事、伝承行事を伝えたりする傍ら、公園に集まってくる近隣の中高生達を見守っています。中には学校に居場所を見出せず、公園にたむろしている高校生もいたそうです。しかし、行為を頭ごなしに叱ってやめさせるのではなく、まず声を掛けていくことが重要で、子どもにとって何がベストな環境かを考えることが必要というお話でした。中でも印象に残ったのは、親の行動を子どもは見ているということ。行事に参加して挨拶もせずに帰る親。池に落ちそうな子どもを尻目におしゃべりに夢中、やがて子どもは池に。そのような親の背中を見て育った子どもたちは、どのような大人になるのか。我々は大人として、地域住民として何ができるのか。地域での子育ては何ができるのか。自らの体験を下にしたお話は非常に重要な方向性を示しているように感じました。

子ども・若者を巻き込んだ事件はよくメディアでも報道され、その度に不安を掻き立てられることも少なくありません。しかし、現代社会を取り巻く不安は多いとしても、それらを「良くない事だ」「悪い事だ」と簡単に我々の心の中から分離してしまうのではなく、その背後にあるものに目を向けて、人間とは何か、という事について真剣に考えることが必要だと感じました。