2016年9月11日
[主 催]日本市民安全学会
[後 援]警察政策学会 市民生活と地域の安全創造研究部会
[会 場]ちよだプラットフォームスクエア 会議室504
[内 容]
第1講 通学路に潜む危険の可視化と対処:
第1講 通学路に潜む危険の可視化と対処:
「危険なできごとカルテ」と『聞き書きマップ』の提案
科学警察研究所 原田 豊 氏
子どもの連れ去りが9年ぶりに100件を超え、不安感が高まっていますが、子どもが大人に対峙するということは、大人がヒグマを相手にするのと同じことで、戦おうとしてはいけないとのことでした。このような危険なことに出会わないようにするために通学路安全マップの作成を地域全体で進めることが大切であり、開発を進めてきた『聞き書きマップ』などを活用した取り組みが、文部科学省のモデル事業に採用され、学校教育現場への普及に道が開けたとのことでした。平成28年版の警察白書などにも取り上げられ、ますます活用が広がりそうです。
第2講 思春期の子どもたち
相談のハードルを下げるには
昭和薬科大学臨床心理学研究室 教授 吉永真理 氏
思春期の子どもたちは、さまざまな悩みを抱えており、周りに助けを求められないことでつらさをまぎらわすために「自分の健康を故意に害する症候群」と名付けられている自傷行為をはじめとする行動に追い詰められてしまう子どももいます。思春期の子どもたちの、周囲に助けを求めたり、いらいらをコントロールできるようにしたり、悩んでいる友達を助けたりできる力の向上を目的に開発されたプログラムSEL-Shortの解説をしていただきました。また、地域で子どもたちを受け止める居場所の重要性、特に「プレーパーク」の取り組みについて紹介いただきました。子どもたちが学校を卒業してしまうと先生などの支援者との関係も途切れてしまうので、卒業前に地域の支援者とつながっておくことが大切であるとのことでした。
ディスカッションの前に、「データが語る子どもの姿」と題して、セコムIS研究所の濱田宏彰氏に、子どもに降りかかる犯罪についてデータを示していただきました。児童虐待の増加や振り込め詐欺に加担してしまう子どもの増加などの問題が示されました。その後、原田氏、吉永氏との討論が行われました。
今回は、見えざる子どもの危機に対し、すでに社会実装され、現場で大きな成果を上げている2つのコンテンツについて解説していただき、子どもたちの外からの脅威と内側からの脅威を合わせて学びました。子どもたちが安心して過ごせる社会づくりに日本市民安全学会は協力していきます。